ネットワークのセキュリティを強化するためにはファイアウォール(FW)の設計が欠かせません。
本記事ではネットワークセキュリティの観点からFWの設計に関するベストプラクティスを紹介します。
この記事を読むことで効果的なFWの設計方法とセキュリティ強化のポイントが理解できます。
ファイアウォールの基本概念
まずはファイアウォールで何ができるのか?という基本の概念・機能をおさえましょう。
ファイアウォールの役割
ファイアウォールはネットワークトラフィックを監視し、許可された通信のみを通過させることで不正なアクセスを防止します。
ハードウェア型とソフトウェア型の両方が存在し、ネットワークの境界に配置されます。
主な機能
- パケットフィルタリング
- ステートフルインスペクション
- アプリケーションレベルゲートウェイ(プロキシ)
設計の基本原則
業務を止めないようにするのが基本のように思えますが、それだけ考えていれば良いというわけではありません。
セキュリティの観点からみると基本の考えは以下のようになります。
最小権限の原則
ネットワークセキュリティの基本は「最小権限の原則」です。
必要最低限のアクセス権のみをユーザーやシステムに与えることで、セキュリティリスクを低減します。
デフォルト拒否の原則
すべてのトラフィックをデフォルトで拒否し明示的に許可された通信のみを許可する設定にします。
これにより予期しない通信が行われないようにします。
ネットワークゾーニング
セキュリティの設計においては、社内のネットワークをいくつかの区分け(ゾーニング)することで脅威から守りやすくなります。
DMZ(非武装地帯)の設置
DMZは外部ネットワーク(インターネット)と内部ネットワークの間に設置される中間ゾーンです。
ウェブサーバーやメールサーバーなどの公開サービスを配置し、外部からの攻撃が内部ネットワークに直接影響しないようにします。
内部ネットワークのセグメンテーション
内部ネットワークを複数のセグメントに分割し、各セグメント間のトラフィックを制御することで内部からの攻撃や感染拡大を防止します。
アクセス制御リスト(ACL)の設定
ファイアウォールでは原則として許可しない通信はブロックされます。
したがって、具体的にどのような通信を許可していくのか?という点で設定をしていきます。
また、このプロセスでは社内の業務でどのような通信が必要になるのか調査する必要が出てきます。
ACLの役割
ACLはネットワークデバイス上で特定のトラフィックを許可または拒否するためのルールセットです。
ACLを使用してトラフィックの流れを詳細に制御できます。
ACLの設定方法
- インバウンドとアウトバウンドの制御: 各インターフェースに適用するACLを設定し入出力トラフィックを制御。
- 特定のポートの制御: 必要なサービスのポートのみを開放し不必要なポートは閉じる。
ログと監視の重要性
ファイアウォールの異常を放置すると社内のネットワークが脅威にさらされ業務が停止する可能性があります。
さらに顧客情報等が漏洩してしまうと会社の存続にもかかわる事態に繋がります。
異常に気付くには何よりもまずログを収集し監視をする体制を整えることが重要です。
ログの収集と分析
ファイアウォールのログはネットワークの状態やセキュリティインシデントを監視するための重要な情報源です。
定期的にログを確認し、異常なアクティビティを検出します。
リアルタイム監視
リアルタイムでネットワークトラフィックを監視し異常を検出した場合は迅速に対応する体制を整えます。
専用の監視ツールやSIEM(セキュリティ情報およびイベント管理)システムを活用します。
セキュリティポリシーの実装
セキュリティポリシーの定義
セキュリティポリシーはネットワークの安全性を確保するための規範です。
ポリシーにはアクセス制御、データ保護、インシデント対応などが含まれます。
ポリシーの定期的な見直し
セキュリティポリシーは定期的に見直し最新の脅威や技術の進化に対応するように更新します。
従業員に対する定期的なセキュリティトレーニングも重要です。
まとめ
ファイアウォールの設計はネットワークセキュリティを強化するための重要な要素です。
最小権限の原則やデフォルト拒否の原則に基づいてネットワークを設計し、適切なACLの設定やログの監視を行うことで安全なネットワーク環境を構築することができます。
また、セキュリティポリシーの策定と定期的な見直しを通じて持続的なセキュリティ強化を図ることが重要です。
このガイドがネットワークセキュリティの設計において役立つことを願っています。
コメント